CAPTAIN STAG®特別インタビュー Vol.01

第4章 ~あれから17年~

髙波:17年ですね。

村松:気がつけば17年です。

井上:それを経て心境や環境の変化はありますか?なんか逆に薄れてしまったとか。

村松:〈二度とごめんだ〉っていう思いとやっぱり日に日にというか、年を追うごとにその感覚っていうのは薄れていきます。ですけど実際水害に遭って〈やっぱりライフジャケットとかってすごい大事なんだなー〉っていうのは実際に思うんですよね。だからその水害で得た経験値をショールームに来ていただいたお客さんに対して商品説明とかをする際に伝えます。

水害にあった時もライジャケがあれば落とさなくていい命も落とす必要はない、助かることがあるわけだから、水遊びをするときは必ずライフジャケットをつけてください」

「足を切ったりすることがあるので、マリンシューズは絶対に必要ですよ」

っていうのはお伝えしました。我々もそうなのかもしれないけど、日本人の悪いところって熱しやすくて冷めやすいところじゃないですか。そうすると水害が起きても1年後には「そんなことあったっけ」っていう感じで終わってしまうので、我々みたいに道具を作っているメーカーはその得た経験を商品の部分でも大切だというところに置き換えて啓蒙していかなければいけないというのはすごい思ったところですね。

井上:確かに。

村松:ただ薄れることは薄れます。

井上:でもそれだけすごく前のことなのに、時系列で状況を覚えていて。すごいなと思って。

村松:あの記憶はすごい鮮明に覚えていますね。半端ないですね。

第5章 ~当時のキャンプ市場と日本人~

村松:まあ、そんなこんなを乗り越えて今がある。

井上:当時ってキャンプという文化は一般的に浸透していましたか?

村松:ありましたよ。

髙波:でもちょっと廃れてきてる時ですかね。2004年って。

村松:廃れてますね。落ちてますね。1990年代っていうのがほぼピークなんですよね、第1次のキャンプブームということで。猫も杓子もキャンプだ、キャンプだ、になってね。当時のオートキャンプというところでハマって。

当時はこの近隣っていうと金物加工品を作れるところが多かったので、ジャンボバーベキューコンロA型なんていう純国産のバーベキューコンロを作ってたりとか。レジャーチェアも地場に作れるところがあって、折りたたみ式で二つ折りになるようなパイプチェアを作ったりとか。ビーチパラソルも国産で作ってまして、今だと980円くらいのビーチパラソルがなんと当時15,000円で売ってたような形で。

井上:へえー!

▶ジャンボバーベキューコンロA型(1976年発売)

村松:ほぼ国産のもので。うちもキャンプの道具は2004年とかもほぼありましたけど、始めた当初というのはシュラフはイスカのシュラフを買ったりとか、ライト系はナショナル(現:パナソニック)のを買ったりとかっていうことで取り売りをしながら徐々にアイテムを増やしていったという感じでした。

日本人はやっぱり熱しやすくて冷めやすいというところで、キャンプはガンと伸びたけどそのあと落ちるときはものすごく早くて。

だけどいざ災害が起きると必ずキャンプの道具っていうのが取りざたされて、渇水になればウォータータンクが必要だし、避難所に避難しなければいけないって話になったりするとテントや寝袋、レジャーシートみたいなものが必要になってくる。災害があるごとにみんなキャンプ道具を思い出すっていう、そんな流れだったんですね。

ヨーロッパとかアメリカは逆に日常的にキャンプを楽しんでもらいながら、テントの設営の方法などを啓蒙しているという話を聞いて。我々も絶対そうしなければいけない。災害があったからその時に初めて使う、苦しい時にだけ使うっていう道具というよりは楽しい時に、いい思い出とともに道具を使っていただいて、いざ災害が起きた時は便利に使える道具っていうところが1番いいのかなという風には思っているんです。

第6章 ~キャンプが災害に役立つ要素~

昨今の新型コロナウイルスにおけるパンデミックも災害のひとつととらえている。そんななか、昨年の3月ごろからゴールデンウィークにかけて、第2次キャンプブームとも呼べる世間のキャンプ熱が再燃。流行語大賞にもノミネートされたソロキャンプや焚き火ブームもキャンプ全体の盛り上がりをけん引していると村松さんは語る。

一過性のブームには一定の懸念を示しながらも、いままでとは異なる傾向に期待も寄せている。いままでのキャンプはウチソトで言ったら完全に〈ソト〉であったが、新型コロナウイルスの影響により家の中〈ウチ〉でも楽しまれるようになってきた。外出自粛の影響からか、家の中でテントを張ってみたり、スキレットでキャンプ飯を作ってみたりという人たちが増えてきた。

「日常的にキャンプ道具を使える人たちがどんどん増えてきているのでは」

また、焚き火の炎は現代の人々のすさんだ気持ちを和らげる癒しの効果があったり、子どもに対しては火の大切さや危なさを教えるツールにもなったりしている。キャンプに行って一緒に調理をすることで、小さな子どももお父さんお母さんの手伝いをしながら、火や刃物の使い方を覚えることができる。

「いままで外に行かなければできなかった、教えられなかったことが、外に行かなくても家の中でキャンプ道具を使ってできる。庭があれば庭で火をつけてみるということが身近になったので、今後キャンプがより定着していくのではないかと思うし、そう願っている」

と力強く語った。キャンプシーンも“ニューノーマル”に変わりつつある今日この頃である。

〈2021/6/10 取材・編集 井上佳純 / 撮影 山口晃〉

後編は7/15に公開予定です。最近の“おうちキャンプ”ブームについてやイベントタイトル決定の裏話、災害時にも役立つおすすめのキャンプグッズ紹介など盛りだくさんの内容でお届けします。

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