CAPTAIN STAG®特別インタビュー Vol.02

ASOBISAI CAMP

第二回「日常と非日常の間にアウトドアを感じる」

NPO法人ソーシャルファームさんじょうが今年9月に「ASOBISAI CAMP 2021」というイベントを開催するにあたり、三条市に本社を置くキャプテンスタッグ株式会社様から協賛をいただくことになりました。本イベントは「遊びながら、そなえよう」をコンセプトに、キャンプや日常を楽しみ、それを続けていくことで災害に備えることを目指した企画です。

前編では村松さんより、2004年7月に三条市で発生した「7.13水害」のときの体験とそこから得たものについて語っていただきました。

今回の後編では、最近の”おうちキャンプ”ブームについてやイベント決定の裏話、災害時にも役立つおすすめのキャンプグッズ紹介など盛りだくさんの内容でお届けします。

髙波 洋介氏

キャプテンスタッグ株式会社 常務取締役 アウトドア事業部 本部長
他社とのコラボレーション企画を仕掛けるなど、キャプテンスタッグブランドを若い世代にも広めるために積極的な事業展開を行っている。

村松 勉氏

キャプテンスタッグ株式会社 アウトドア事業部企画開発室 部長
2004年7月に三条市で発生した「7.13水害」では、水没する街中をショールームのカヌーを用いて、皆と協力して救助活動を行なった。

井上 佳純氏

NPOソーシャルファームさんじょう所属
2019年1月より三条市地域おこし協力隊として着任。現在は教育分野にて子ども向けイベントの企画運営や学校連携に取り組む。

第7章 ~コロナ禍だから気づいたこと〈おうちキャンプ〉~

井上:このキャンプブームというのを今後“文化”にするためのワンステップには何がポイントになってきますか?

村松:日常的に使っていただけるっていうことだと思うんです。我々はそれまでも〈外で使うことができるけど家の中でも使える〉っていうところをある種キーワードにして商品を作っていたので。おうち使いの道具として使い、「これ結構いいな」って思ったやつを外でも実際に使えるというような形だとすると、製品の使用頻度も上がってくるし、家の中で使えるっていうと奥さんの財布の紐が緩みやすくなるんですね。

外だけで使う道具ってなると

「あなたそんなの外でしか使わないし、 1年のうち何回使うの?」って。
「いや、3回か4回くらいキャンプに行くし」っていうよりは
「家の中でも使えるじゃん」という話だと
「じゃあ買ってもいいかな」っていう形になりやすいですかね。

井上:確かに。うちもそんな感じです(笑)

村松:そうなんです。「買うのは買ってもいいんだけど何回使うの?」って絶対言われますんでね。

髙波:「3回だったら借りればいいじゃん」ってね(笑)

村松:だけど「家の中でも使えるじゃんコレ」っていう風になると結構いい感じです。

髙波:非日常だけだったのが、日常でも使うってなると一気に幅が広がるんですね。ここは1990年代にはなかった流れですよね。

村松:「おうちキャンプ」云々っていうのはなかったですね。ウチソトでいうところのウチの「おうちキャンプ」っていうところを根付かせてくれたというか、気づかせてくれたのは本当申し訳ない話ですけど、コロナ禍の影響かなと。

髙波:キャンプ場に行かなくても楽しめる。

▶家の中でテントを広げ、いつもと違う空間を楽しむ家庭も。

村松:あと子どもに対する癒し効果ですね。外に出られずにヒステリックになっている小さなお子さんがいて、ポップアップテントみたいな小さなテントにそのお兄ちゃんを30分くらい入れたら落ち着いて出てきた。次に弟がその中に入って落ち着いたみたいな。おうちの中でのテント体験が心理的にそのお子さんたちを落ち着かせたという話を聞いて。

井上:そんな効果もあるんですね。

村松:だから普通に便利に調理の道具として使うっていうところだけじゃなくて、キャンプ道具を使うシーンがお子さんの情緒の安定にも寄与したんだなあっていうのはちょっと嬉しくなりました。そんな形で広がっていっていただければ嬉しいです。

井上:そうですね。いろんな形でずっと続いていくものになるといいですね。

第8章~これからキャンプを始める人へのメッセージ~

村松:若い世代の人たちにも広げていきたいということで、髙波常務が主導になってアパレルメーカーさんとコラボしています。そちらの方から入ってうちのギアのファンになってくれるというのもあるかなと。

井上:今回の私たちの企画が「これからキャンプをやってみたい」とか「キャンプビギナーです」という20~30代の方たちをターゲットにしています。そういう方たちに向けてメッセージはありますか?

村松:自分のスタイルを見つけること。

髙波:決まりはないので。ただ火の扱いや危険なことを学べるところではある。マナーとか器具の扱いっていうのはしっかり勉強はしてほしいですね。

村松:夜騒がないとか、ゴミは必ず持ち帰るとかそういったところですよね。今の若い世代の人たちってマナーに対してすごく良く出来てると思うんですよ。一例を挙げると、フジロックって湯沢でありますよね。昔はお客さんのマナーがひどかったんですが、ここ近年はゴミが落ちてたら人のゴミでも拾って帰るっていうような人たちのほうが増えてきていますね。

井上:沢山あるかと思いますが、キャンプの魅力といえば何ですか?

村松:普段家の中にずっといたり、オフィスに勤めているという人たちにとって自然を感じることができる。いいところでも悪いところでもあると思います。特に女性の方はそうですけど、キャンプのYouTubeを観ると「すごい良いなこれ」って思うのに、行ってみたらたくさん虫がいてだめとか。暑い、逆に寒いとか。

井上:動画だと温度も感じないし、匂いもしないですしね。

村松:逆に不便なところをどうやって解消するかを考えられるのが魅力。さっき言いましたように「これが決まり」っていうところがないので、「いい感じのことやってるな」って思えばそれを真似ればいい話だし。

一回失敗すると必ずそれを糧にしてそこから新しいやり方が生まれてきたりするので、型にはまらずに最初に素敵だなって思うことをまずは真似てみるっていうところから入って、自分なりのスタイルっていうのを確立していくという感じじゃないですか。道具もスタイルも自分好みで。それがキャンプだけじゃなくて、ライフスタイルの一環として家の中でも使えるようになると根付くのかなっていうのは思いますね。

井上:ぜひ私もそうしていきたいと思います。この間、後輩とキャンプに行きましたし、その翌週は家族とも行きました。

村松:1回行くとハマりますよね。

第9章 ~イベントタイトル決定しました~

井上:そうだ、企画のタイトルが決まりまして。ASOBISAI CAMPに決定しました。

髙波:遊び祭り?

井上:遊びと備災ですね。防災じゃなくて、災害に備えるっていうところで組み合わせてASOBISAI CAMPというタイトルにしました。調べると備災という言葉はすでにあって、防ぐというよりは備えるっていうイメージで「遊びながら、そなえよう」というコンセプトにしました。

村松:あーいいじゃないですか。

井上:それこそ日常的にキャンプグッズを使うことが災害時にも役立つというところを出していきたいなと思います。

髙波:真似しようかな(笑)

村松:俺も今そう思った(笑)

井上:ほんとですか!それぐらい良いと!嬉しいです。

髙波:備災っていう言葉もあるんですね。

井上:たぶん備災っていう言葉があまり定着していないと思うので、ASOBISAI って聞くと「遊ぶ、祭り」っていう、なんか楽しそうなイメージもありつつも。

村松:そうですね。韻だけ踏んでると楽し気な感じだし。「びさい」っていうと美しい極彩色の彩っていう意味の「美彩」のイメージも浮かぶ。

髙波:「美」で美しいキャンプみたいなね。

村松:いい感じの響きですよね。

井上:それで実は「備災」っていうのがあるんだよっていう、ちょっとほのかに後ろに匂わせるというか。

村松:それはいい感じじゃないですか。

井上:やったー!(笑)悩んで悩んで、ここにたどり着くまで大変でした。

髙波:遊びながら、そなえよう。

村松:まさに我々が考えていることですよね。

井上:お話聞いてて、良かったと思って。

髙波:楽しみながら、災害にも備える。

井上:はい、それを実現させたいなと思います。

第10章 ~防災セットを販売した経緯~

井上:最後に、御社が防災セットというものを商品として開発しようと思ったきっかけはなんですか?

▶キャプテンスタッグのカタログに掲載されている緊急時持ち出しセット。災害経験のノウハウが詰まっている。

村松:やっぱりキャンプの道具っていうのは日常的にも使うことはできるけれども、いざ事が起きたときに非常に有用な道具っていうのが多くて。ただ一般ユーザーとかビギナーの方とかってまず何を揃えたらいいか分からないっていう部分があるじゃないですか。だからそこに対しては被災をしたこともあるっていう我々の経験則を反映させています。お値段によって内容が変わってくるんですけど、「最低限これだけあればいいよ」なのか、「宿泊所まで行けるセット内容が欲しい」のかというところのご提案ですね。

井上:なるほど。

村松:ただこれが完全に個人個人のニーズにぴったり合っているかというと、それは違うと思うので収納用のバッグを必ずつけています。

髙波:あと必ず不足品が出てくるという点で持ち出しチェックリスト。入っているもの以外でもこの辺が必要なので見てみてくださいというのは必ず入れてます。自分でチェックできるっていうところも加えてますし。あと、コロナ禍に考えたセットでもあるので必ずマスクを入れています。ここは避難所でも移動でも必ず必要になってきますし。なのでこれは新しいセットの特徴かなと思うんですね。セットというのはずっと作り続けているんですが、最新の商品として今回また新しく3つ作っています。

企業からの依頼で法人向けに防災セットや備蓄セットを作ることもあるという。
「依頼があるとなんでも作ってしまう“なんでも屋“なんです」
と、ものづくりに対する熱い想いを語った。

次ページ▷▷▷災害時にも役立つ!おすすめキャンプグッズ紹介

1

2

関連記事