最終回「防災の日に語る、アウトドアの街・三条だからできること」

―初回のインタビューでも少しお聞きしましたが、御社がメーカーとして行っている防災の取り組みを教えていただけますか。

弊社は水害や地震に何度か遭っているので、アウトドアメーカーとして何かしなければという意識を常に持っている会社かなという風には思います。キャンプグッズ自体が防災用品なので、以前も言ったように〈キャンプを楽しむことがいざという防災に繋がるんだよ〉っていうのは今後も啓蒙をしていきたいです。キャンプ用品の中でも非常時の防災につながる商品を集めて3種類のセットを用意しています。食品などは他社さんから仕入れて、ご希望があればセットアップをして防災セットとして出すこともあります。

―今年の夏も西日本では雨の被害が結構多かったですね。

まだ現状も大変だと思いますが、避難所に行った後の対策も取り組んでいます。今までは避難所で雑魚寝で過ごしていて、疲労や精神的ストレスを感じて辛いという部分がありました。最近は体育館の中にテントを立てるという取り組みがなされているので、そこに商品を卸させてもらっています。

ダンボール製の仕切りもありますが、保管も難しいですし、立てるのも使用後の処理も結構面倒くさいんです。弊社のキャンプ用品の知見を活かして「ポップアップテント」の技術でパーテーションを作って卸させてもらってるところもあります。感染症対策やプライバシー保護の観点から要望を頂くことが多いです。上部が全閉できるタイプのパーテーションも自社で開発をして作っています。

※7.13水害のエピソードは第1回インタビューをご覧下さい。

※災害時にも役立つおすすめキャンプグッズは第2回インタビューをご覧ください。

―次に髙波さん自身についてお伺いします。若い時と現在で防災に対する意識の変化はありますか?

小さい頃から考えると、阪神淡路大震災が記憶に残っている1番大きな出来事かなと思います。それから新潟でも地震がありましたし、近くでは東日本大震災もありました。7.13水害ももちろんありましたので、災害がいつ起きてもおかしくないという状況は考えるようになりました。

一人暮らしをしていた時は自分のことだけ考えていれば良かったですが、家族を持つと〈家族で逃げる時〉〈家族がバラバラの時に何か起こった時〉のことはより考えるようになってきました。だから三条市のハザードマップも家で見るようになりましたよ。何かあったときは子ども達も電話できるようになっていたり、ここに集合しようみたいなことも一応家族で話すようにはなりましたね。

―なるほど。家庭でその話題が出るっていうのがすごいですね。

三条市は信濃川と五十嵐川があるので、家族を持ってから水害は特に意識するようになりましたね。

あとキャンプメーカーとして外からも声をいただくようになりました。今回の機会もそうですし、「教育にキャンプを取り入れられないか」という相談をある学校の校長先生からいただいたこともあります。これは熊本地震がきっかけでした。避難所自体が崩れるかもしれないという状況でテントが結構活躍したということがあったんですね。車中泊はエコノミー症候群になる危険性もあるので、テントは有効な手段のひとつとして使われました。相談や依頼があればできるだけご協力していきたいなという風には思っています。

―では最後に、今回の企画への期待やイベント参加者へのメッセージをお願いします。

「防災」っていうと堅苦しくなってしまったり、怖い負のイメージが付いていたりすると思いますが、今回の趣旨である「遊び」と災害に備える「備災」ということを掛けたように、普段遊んでいることがいざという時に役に立つというのが1番理想的な防災だと思います。キャンプをぜひ普段から気軽に楽しんでいただいて、火の扱い方やテントの立て方などいろんなことを遊びながら学ぶ。そうするといざというときにも肩肘張らずに対処ができると思います。楽しむ心を持ちながら、ちょっと片隅に“備災”という言葉を思っておいていただけるといいかなと思います。

―ありがとうございます。楽しいイベントにしたいと思います!

〈2021/8/19 取材・編集 井上佳純 / 撮影 山口晃〉


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